漢方には、利水剤という種類の漢方薬がある。
西洋薬では、利尿剤というものがあるが、利水剤と利尿剤は、違う作用がある。
利尿剤は、その名のとおり、尿を出しやすくするお薬で、心不全や高血圧などに使用される。
そして、利水剤というのは、尿を出しやすくするだけでなく、水が足りないところには水を補い、水が多いところからは水を抜くことをもたらす漢方薬である。
実際に、通常と水中毒のマウスに利水剤と利尿剤をしようした実験では、水中毒のマウスでは、利水剤も利尿剤も尿量を増やす傾向があったが、通常のマウスでは利尿剤のみ尿量を増やす結果を示した。
ではどういった作用機序なのか。
1つの説として、アクアポリンが関わっていると知られている。
アクアポリンとは、細胞の水の通過に関わるチャネルである。
アクアポリンは古細菌,細菌,酵母,植物,線虫,昆虫,脊椎動物に広く発現している。
ほ乳類では AQP0から AQP12の13種類が報告されている。
利水剤は、このアクアポリンを阻害することで、細胞膜水透過性抑制作用をもたらす。
病的な状態の場合にはアクアポリンの調節機能がうまくいっていないので、このアクアポリンの阻害によりうまく体内の水分調節を行うことが可能である。
アクアポリンをグーグルスカラーで調べると沢山でてきます。
礒濱 洋一郎先生の「五苓散のアクアポリンを介した水分代謝調節メカニズム」が参考になると思います。
是非、調べてみてください。