フォーチュン・マッキ’s diary

幸せのために何ができるか

<妄想話>子供からお年寄りまで値切りを楽しめるお店 「ハンガク」 第3話

値切りとは売り手の価値と買い手の価値がぶつかる環境。

 

値切りを目的とした商業施設「カチカチ山」。

そこにある「ハンガク」という私のお店のお話。

 

前回は「パンの価値」について簡単に紹介した。

https://fortunemelody.hatenablog.com/entry/2022/06/04/002944


 

今日は困った。

私の苦手な「絵画」を仕入れた。

 

私には「絵画」の真の価値がどうも理解できない。

だが、うちの「ハンガク」の方針としては依頼があれば断らないのでどんな商品も店で売ることにしている。

なので、あらゆるものに価値をつけねばならない。

価値を判断するのは相当な知識と経験を有することが重要である。

 

その中で絵画も含めた芸術というのは、あらゆる要素を考える必要がある。

「金額」の価値。

「感情」の価値。

そして、「時」という価値も考えないといけない。

 

一番やっかいなのが、作成者の価値観である。

まあデタラメというか興味がないというか。

 

作成することに楽しみを持っているせいか、芸術とは市場とのギャップが大きい品物である。とても難しい。

 

ただ、私には買い手の真っ当な価値観を見出す能力がある。

決して鍛えた訳ではないが、価値への貪欲さがあったからかもしれない。

 

とまあ私の自慢はさておき、今回の仕入れた「絵画」の価値を考えないといけない。

 

仕入れ先の芸術家からは、特に価値の設定は言われていない。

ただ、自信はないと自信をもって言われている。

まったくよく分からない芸術家である。

 

価値を決めるために、買い手の価値観を十分に考える必要がある。

価値を考える作業として、「物」、「背景」、「感動」、「芸術の見かた」を考えていく。

 

まず、「物」としての価値には、使われる素材がある。

紙、絵具、クレヨン、鉛筆、墨、額などの価値を考える。

この芸術家はそういったところには良いものを使うということにはこだわっているので、そういった価値観は評価できる。

 

「背景」としての価値というのは、作者や、どこで描いたかである。

実はこの作者、かなり人気の芸術家なのである。

今回の「絵画」もおそらく相当な買い手がいるのではと思いつつ、真の価値を考えようと思う。

この芸術家、ものすごい人生を送っている。

いわゆるバツイチと言われているもので、子供は2人いる。

この性格なので、芸術にしかほぼ興味がない。

奥さん、子供をほったらかして芸術に明け暮れていた。

ただ、奥さんと子供を愛していたことは、この家庭を描いている作品を見る限りすごく感じることができる。

これまでの作品でも家庭を描いている作品が多く、決して興味がない訳ではなかった。

もしかしたら、生きることを芸術と考えているのかもしれない。

自信がないといった作品ではあるが、愛を感じられる作品と思う。

本人の頭の中は分からないが。

 

「感動」としての価値というのは、そのままであるが主観である。

主観とはいえ、専門家の意見は取り入れはしているが、この部分はこだわりではあるが、自分の価値観を信じて考えている。

「上手い」「きれい」「安心する」「繊細」「不思議」「嫌」など、感じるがままに思うことをポイントにして加算していく。

やはり、この絵画には愛を感じる。温かさと少し寂しさも感じられた。

芸術として作成する中で、その中に入っていきたいという思いもあったりと中途半端に感じるところもあり、そこが自身のなさにつながっているのかもしれない。

ただ、その葛藤もまた芸術でると思う。

率直に思うのことが大事である。

恥ずかしがらずに。

 

「芸術の見かた」としての価値を考えるには、あらゆる目線で見ることである。

見る人の気持ちになって見るという、単純であるが、難しい作業である。

子供、大人、老人、専門家、素人、既婚者、未婚者、子持ちという要素。
目を凝らして見るか、漠然と見るかという注目という要素。

上下左右、遠近、明暗など見る距離、角度、環境という要素。

幸せ、イライラ、絶望という要素。

これらの要素を鑑みて価値を考えていく。

展示をし意見を聞いたり、実際にそういった場面を検証したりしている。

一番時間がかかる部分であるが、買い手の価値観を考えるうえでとても大事である。

なので、時間をかけている部分である。

 

これらの価値を順に考え価値を決める。

また、芸術というのは価値の変動が激しいので、あらゆる人と価値を共有し決めていくことを大事にしたいと思う。

 

 

人は思うことにどこまで価値観を持っているだろうか。

「思い」の価値観は自分次第である。

芸術は、その「思い」を見出すことに価値があると思っている。

芸術で大事なことは、その作品から何を感じるかなのだと私は思う。

 

さて、この絵がどのくらいの価値になるか楽しみである。

 

余談ではあるが、奥さんと子供は、この芸術家の父をとても大好きで誇りに思っている。本人には内緒であるが。

 

~ 続く ~

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